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映画ギャングオブニューヨークはつまらないのかを考察(ネタバレあり)

2020年9月13日

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このブログは前回の映画『ギャングオブニューヨーク』の感想の続きです。

映画ギャングオブニューヨークのあらすじと解説(ネタバレあり)

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ギャングオブニューヨークはつまらないのか(ネタバレ)

検索ワードのサジェストで「ギャングオブニューヨーク つまらない」って出てきたけど、「つまらない」で片付けてしまうにはもったいない映画だと思う。
この記事も文字数がすごいことになっているけど、アムステルダムとビルの関係性とか、U2の「ザ・ハンズ・ザット・ビルト・アメリカ"The Hands That Built America"」の素晴らしさとかまだまだ語れることがある。

ギャングオブニューヨークは主題がブレてるとか、最後の対決が中途半端だしつまらないと言い切ってしまうのは簡単だけど、注視すべきは、父と子の世代を引き継ぎ続いてきた抗争ですら時代のうねりに翻弄されてしまう、というところ。

つまり、「ギャングオブニューヨーク」はふたつのストーリーが同時進行しているのだ。

  • ひとつ目は、アムステルダムとビルの物語
  • ふたつ目は、史実に基づいたアメリカ社会が奴隷国家から移民国家へ大転換していく過渡期の歴史

ストーリーの序盤で、リンカーンの当選に対して、"Lincoln will make white men slave"と掲げる人がいたり、奴隷解放宣言に反発するようなセリフがあるけど、この場面で見せたいことはリンカーンの当選ではなく新しい時代の到来なのだと思う。

そして、終盤の「ネイティブ・アメリカンズ」と「デッド・ラビッツ」の対決が起きる少し前のシーンでモンクがビルに言ったセリフ。

「ファイブポインツの諸君!カッティング氏は私にケンカを売って、流血沙汰で私を脅そうとしている。どっちを選ぶ?カビの生えた掟に生きているやつらをこの腕で黙らせるか。新世界の新しい声としてこの私に公職を与えるか!どうだ、ビル?彼らの答えだ。"流血"と聞いて声も出ない。来い。民主的に話しをつけよう。」

つまり、ギャングの暴力による支配の終焉が迫ってきているということ。

リンカーンの当選に始まった時代の変遷。
ストーリーのラストで登場した鉄砲や砲弾は新世界の暴力の象徴ともいえるものだった。
新しい暴力は兵士とかギャングとか市民とか関係なく、どこまでも平等に無慈悲な存在なのだ。
激動の時代の一時期を支配した力ですら、なす術もなく破壊されていく。

「何の力でここまで生きられたか。恐怖だよ。恐怖で血の凍る場面。おれから盗む者は手を。おれを怒らせた者はその舌を。逆らう者は首をはねそれを杭に突き刺した。見せしめのため高い杭に。それで物事が収まる。恐怖だ。」

物語の中盤でアムステルダムにそう話していたビル。
ビルの支配力を担保していたのは中世ヨーロッパ的な「恐怖」による権力そのものだった。

でも、「恐怖」による権力は新世界では淘汰されていくだけ。
そんな一時代を築き上げた権力者の没落という物哀しさというのも「ギャングオブニューヨーク」のコンテクストにはあると思う。

超越者の眺める世界

これは、冒頭のファイブ・ポインツの支配権争いが「ネイティブ・アメリカンズ」勝利に終わったあと、1846年のニューヨーク市から16年後に移り変わる場面です。

※著作権法施行規則第4条の2が定める表示方法の9万画素に合わせています

このシーンで感じたことは、命がけで奪い合っているファイブ・ポインツも超越者、つまり神の視点で眺めるとニューヨークの街の一角でしかないということ。

※著作権法施行規則第4条の2が定める表示方法の9万画素に合わせています

「自分自身にとっての世界のすべて」は、超越者から見たらちっぽけなものかもしれない。

これはどういうことかというと、例えば、

何か悲しい出来事があったときに、「もう世界なんて滅びればいい。」とか「生きてても不幸でしかない。」とか、自分自身の世界は悲しみや不幸せで満たされてしまうのだけど。
それはあくまで自分自身の世界にだけ起きることであって、他の人の世界はそんなのおかまいなしに明るくハッピーなまま。

つまり、自分の身に何が起きようとも自分の外側にある大きな世界にはなんの変化も起きなくて日常は進んでいくということ。

アムステルダム少年が父親のヴァロン神父を失ったことはこのときの彼自身の世界のすべてだったはず。
「デッド・ラビッツ」の人々にとっても同じだし、ビルにとっては抗争の勝利が彼自身の世界のすべてだったと思う。
だけど、神の視点では彼らの世界で起きていることはすごくちっぽけな出来事でしかない。

自分にとって生涯をかけるほどの想いとか、抜け出すことのできないように思える絶望とか。
自分の心の世界はそんな感情に支配されがちで、それが世界そのものの形に思えてしまうのだけど。

神の視点で覗いた世界ではまさに「そして我々のことは知るものもない。」なんだと思う。
だけど、日々のドラマは自分自身の世界のすべてで、それは誰にとってもそう。

人間は、歴史のうねりとか、自然災害とか、自分が抗うことのできない大きな力の前ではか弱き存在かもしれない。
だけど、俯瞰した神の目では見ることのできない街角にさまざまな人間ドラマが溢れている。

「ギャングオブニューヨーク」で描く世界も、歴史の流れの中で、淘汰されるもの、またそこから生まれるもの。
そこにはその時点での富とか権力とかではなく、古い世界の遺物になってしまったものが消えていってしまう。

そんな激動の19世紀ニューヨークで繰り広げられる群像劇と時代の変遷による淘汰が見事に描かれているといっていいのではないか。
そういう視点で見ると、すべては必然だったのではないかと思う。

物語と同時に進行している時代の変遷には目を向けずに、「暴動のシーンは必要?」、「対決に水を差すしなんなの?」と思ってしまうと、「ギャングオブニューヨーク つまらない」になってしまうのかもしれない。

ちなみに、日本の幕末も「ギャングオブニューヨーク」と同時期で明治維新が起きたのは1868年。

「ギャングオブニューヨーク」はハーバート・アズベリーが1928年に出版した同名の著書が元になっているので虚構の世界の話なんだけど、激動の時代の中で実際に淘汰されたいった古い世界の人はいたと思う。
時代の変化に適応していくか、適応できずに未来から取り残されてしまうのか。
未来をなくすとしても自分の信念だけは揺るがないという人もいたのではないだろうか。
結果として、そういう人は淘汰されてしまったのかもしれないけど。

そういう思いを馳せながら、「そして我々のことは知るものもない。」というラストの言葉を思い出すと感慨深い。

映画ギャングオブニューヨークのあらすじと解説(ネタバレあり)

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The Hands that built America(U2)がギャングオブニューヨークのラストをさらに色濃くしていると思う。

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麗乃(Reino)

フリーランスのブロガーのReinoです。 佐賀県唐津市生まれ、東京育ち。 慶應義塾大学文学部卒業。 7 MEN 侍、SixTONES、永瀬廉(King & Prince)、ジャニーズが好き。ただのオタク。人間以外ではサメのオタク🦈 サッカーは生まれ故郷のサガン鳥栖好き。

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